伴走支援について

補助金支援や融資制度に「伴走支援」という用語が使われるようになっています。
例えば、次のようなせいどです。

ものづくり補助金の「ビジネスモデル構築型」の審査項目(政策的意義)

https://portal.monodukuri-hojo.jp/index.html

伴走支援型特別保証制度

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2021/210325hosyo.html

この「伴走支援」という用語は、中小企業庁の「伴走支援の在り方検討会」の報告書である『中小企業伴走支援モデルの再構築について ~新型コロナ・脱炭素・DX など環境激変下における 経営者の潜在力引き出しに向けて~』令和4年3月15日(以下、「本報告書」という。)が基になっているようです。

参照:https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220315002/20220315002.html

本報告書では、中小企業施策における政策の歴史の振り返りながら、伴走支援モデルなどのフレームワーク、モデルの実施方法について記載されています。

本報告書の中で伴走支援の重要性が図のようにまとめれられています。

伴走支援の重要性として、自己変革への「5つの障壁」として、①見えない、②向き合わない、③実行できない、④付いてこない、⑤足りない が挙げられております。

私の知見からそれぞれ整理してみると

①見えない

管理会計・財務諸表など自社を把握するための指標・資料を持っていない・作れない事業者がいます。原因のとして日々のデータ整理をする人材がいないこと・アウトソーシングしていることなどから、その時の自社の姿を把握することを諦めているケースがあると感じます。

②向き合わない

資金繰りや業績が悪いことに気づいていても、客観的にその原因を分析することを恐れる経営者もいます。客観視する時間より、売上を作る・コスト削減を図ることに意識が行き過ぎる傾向もあります。

③実行できない

上記①②までは、乗り越えても、解決策の検討ができないケースがあります。このあたりになると認定支援機関(税理士・中小企業診断士)の知見が生きる分野になると感じています。

④付いてこない

経営者の身体が付いてこない、従業員が付いてこないなど、組織管理(特にモチベーション管理)がポイントになってくる段階と感じます。従業員には①②をしっかり開示する方が良いと思いますが、経営者の中には①②を隠したいという方も見受けられます。

⑤足りない

いわゆる経営資源(ヒト、モノ、金、情報)の不足の壁になりますが、ここまで行くと行政の施策を利用したり、人員確保を行ったり、解決する術が見えてくる印象があります。

本報告書では、この「5つの障壁」を乗り越えるための取り組みとして、図のように整理しています。

・設備投資は補助金
・資金繰り確保・資金調達は保証制度
・事業再生・事業承継は、都道府県ごとの支援

(参考:東京都)https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/revival/index.html

などが該当します。

当社では、設備投資に関する補助金支援や、DX,IT化推進のための支援を中心に行っています。他に資金繰り相談・事業承継についても支援をしています。

本報告書では、「経営力再構築伴走支援モデルのフレームワーク」として、「対話」を重視した支援モデルを上げており、経営者の「腹落ち」を促すための対話の必要性を主張しています。日々の支援を通じても納得の内容です。

また、「経営力再構築伴走支援モデル」として、経営力再構築伴走支援モデルの三要素も挙げられています。

【要素一】 支援に当たっては対話と傾聴を基本的な姿勢とすることが望ましい。

【要素二】 経営者の「自走化」のための内発的動機づけを行い、「潜在力」を引き出す。
【要素三】 具体的な支援手法(ツール)は自由であり多様であるが、相手の状況や局面によって使い分ける。

・ローカルベンチマーク
・経営デザインシート
・資金繰り表

日々の業務を通して感じることは、要素三にあるツールは、認定支援機関の方を中心に活用されていますが、要素一、二が重要です。

また、本報告書では、経営力再構築伴走支援のやり方(アプローチ法)もあげられていますので、ピックアップします。

本報告書では、最後に「経営力再構築伴走支援モデルの実践」として基本的な考え方を示しています。抜粋です。

経営力再構築伴走支援モデルは、これまで行われてきた中小企業、小規模事業者に対する支援を全く新しく刷新するものではない。しかし、「課題設定」「対話」という視点を前面に出して取り入れた、初めての産業政策であり、従来の中小企業政策のスコープを敢えて踏み越えたものである。

また、中身としては、これまでも行われてきた支援において、より高い効果があった事例等を踏まえ、経営環境が大きく変化する時代において、より適切で、効果的な支援の在り方を体系的に整理しようという試みであり、謂わば暗黙知となっている支援手法を形式知化したモデルと言える。

経営課題の設定にまで遡って支援を行うことは、これまで軸足が置かれていた課題解決の支援の効果をより高めることに繋がる。より効果的な支援を行い、中小企業、小規模事業者の成長、発展に繋げるためには、このモデルを支援の共通インフラとすることが必要であり、広く全国で「国民運動」的にこの支援モデルを展開することが必要である。

このため、まずこの支援モデルを実行できる支援人材を育成し、人材を増やすことが必要不可欠である。また広く全国に展開するための仕掛けを考える必要がある。

当社もこの支援モデルを基に中小企業と伴走して支援を行っております。

お問合わせをお待ちしております。