※本記事の内容は、2025年9月21日時点の情報に基づいたものです。

資金を調達するには銀行融資しかない
そう思っていませんか?
この連載「借入だけじゃない!会社を強くする資本の話」では、借入以外の資金調達方法を活用して、会社をもっと強くするヒントをお伝えします。
第3回目の今回は、「資本金を増やすと銀行評価はどう変わるのか?」について見ていきましょう。
資本金が増えると銀行からの評価が高まる


銀行との関係を考えるとき、多くの経営者が気にするのが「評価」です。
実は資本金を増やす=増資を行うことは、銀行からの評価を高める効果があります。
銀行が企業の財務状況を評価する際に注目する指標のひとつが「自己資本比率」です。


「自己資本」とは、返済の必要がない資金(資本金や利益剰余金など)のこと。
逆に借入金などは「他人資本」と呼ばれ、必ず返済が必要なお金です。
資本金を増やすと、この「自己資本」が増え、結果として自己資本比率(企業の総資本(負債と自己資本の合計)に対する自己資本の割合)が上がります。
自己資本比率が高い会社は「返済不要のお金をしっかり持っている=倒れにくい会社」と評価され、銀行からも返済能力に余裕があると見なされます。
その結果、融資条件が有利になったり、追加の借入がしやすくなったりするのです。
第三者割当増資という選択肢も


「増資」には、経営者自身が資本金を積み増す以外にも方法があります。
外部の株主に株式を引き受けてもらう「第三者割当増資」です。
取引先や金融機関から出資を受けることで、単に資金が入るだけでなく、経営や販路のサポートを得られる可能性もあります。
一方で、外部株主を迎えると「持株比率の低下」や「経営への関与」といったデメリットも避けられません。
経営の自由度が下がるリスクはあるため、出資者をどう選ぶかがとても重要です。
信頼できる取引先や長年付き合いのある銀行であれば、会社の成長を後押しする良きパートナーとなり得るでしょう。
増資を通じて成長につなげた中小企業の事例


実際に、増資を通じて成長につなげた中小企業の事例があります。
ある服飾業の会社では、デジタルマーケティング人材を確保するために、長年付き合いのある取引先に出資を依頼しました。
結果として、人材投資を実現できただけでなく、仕入先にとっても安定的な販売先を確保でき、互いにメリットのある関係を築くことができました。
また、教育業の会社では、成長期にさらなる人材確保が必要となり、取引銀行に相談。
銀行が株主として出資を行い、資本金が増加しました。
資金だけでなく経営指導や顧客紹介といったサポートも受けられ、今でも密接な関係を保ちながら成長を続けています。
借入一本では限界がある時代。
資本金を増やすことは、財務基盤を強くするだけでなく、銀行評価を改善し、新たな成長機会を生む戦略です。
次回は、「お金だけじゃない!出資者から得られるサポートとは」 について解説します。