【決算の話 #3】貸借対照表は「会社の健康診断書」

※本記事の内容は、2025年10月25日時点の情報に基づいたものです。
※記事中の画像は、生成AIを用いて作成しています。

決算書は税金を計算するためのもの

そう思っていませんか?

この連載「決算書を“読む”社長になる!数字で会社を強くする話」では、決算書を“過去の結果”ではなく“未来の経営判断の材料”として活かすヒントをお伝えします。

第3回の今回は、会社の“健康状態”を映す貸借対照表(BS)について見ていきましょう。

損益計算書(PL)が1年間の「結果」を示すのに対して、貸借対照表(BS)は決算日時点の「状態」を示す表です。

資産=会社を動かす”エネルギー”
負債=外部から借りた”力”
純資産=会社を支える“基礎体力”

これらのバランスから、会社の財務体質が見えてきます。
たとえば、資産の構成が偏ると、会社のエネルギーがうまく循環せず「流動性不足」を起こします。
また、負債が大きく純資産が小さければ、外部依存体質で「安定性に欠ける」状態です。

つまり、BSは会社の「健康診断書」
数字の構成を読み解くことで、体力・持病・回復力まで見えてくるのです。
さらに、資産・負債・純資産の“内訳”に目を向けると、会社のどこに負担がかかっているのか、どこを整えるべきかが分かります。

資産・負債・純資産のバランスを見たら、次は内訳に目を向けるステップです。

たとえば資産では、売掛金や在庫が過大だと、資金の流れが滞りやすくなります。
在庫を持つこと自体は悪いことではありませんが、売上に比べて在庫が増えすぎると“エネルギーが溜まりすぎて動かない”状態に陥りがちです。

負債では、短期借入金が多いと、返済のサイクルが早く資金繰りが苦しくなる傾向があります。
逆に、長期借入金が中心なら、返済負担を抑えて計画的な投資がしやすくなります。

そして、純資産がしっかり積み上がっている会社は、多少の波にも耐えられる、強い体幹を持っています。

このように、数字を分解して見ていくと、会社の「強み」と「弱み」が立体的に見えてきます。

決算は、年に一度の「健康診断」。
数値の変化を毎年比較することで、会社の体調変化を早期に察知できます。

資産の構成は適切か、負債の負担が大きすぎないか、自己資本が着実に積み上がっているか──。
こうしたチェックを続けることが、“健康体”の経営を維持する秘訣です。

貸借対照表を読み解くことは、単に「今の状態を知る」だけでなく、これからの経営を整えるための“予防”でもあります。
そして、財務の土台が整えば、新たな挑戦に踏み出すための“攻めの経営”も可能になるのです。


貸借対照表は、会社の財務体質を映す鏡です。
数字のバランスを整えることが、安定した経営基盤をつくる第一歩となります。

次回は、「キャッシュフロー計算書(CF)」を取り上げ、資金の“流れ”を読むポイントをお伝えします。

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「うちの会社の決算って、このままでいいのかな?」
と感じた方は、ぜひ一度ご相談ください。

決算書を“経営の地図”として活かすためのポイントを、貴社の状況にあわせて一緒に整理していきましょう。