※本記事の内容は、2025年10月25日時点の情報に基づいたものです。
※記事中の画像は、生成AIを用いて作成しています。

決算書は税金を計算するためのもの
そう思っていませんか?
この連載「決算書を“読む”社長になる!数字で会社を強くする話」では、決算書を“過去の結果”ではなく“未来の経営判断の材料”として活かすヒントをお伝えします。
第4回の今回は、会社の“お金の動き”を表すキャッシュフロー計算書(CF)について見ていきましょう。
キャッシュフロー計算書は「お金の動きを映す鏡」


損益計算書(PL)が1年間の「結果」を、貸借対照表(BS)が決算日時点の「状態」を示すのに対して、キャッシュフロー計算書(CF)は「お金の動きの実態」を表します。
キャッシュフローとは、文字通りお金(キャッシュ)の流れ(フロー)のこと。



黒字なのにお金が足りない



赤字なのに資金が増えている
こうした現象の理由は、キャッシュフローを見ると一目瞭然です。
利益は出ていても、在庫の増加や売掛金の膨張で現金が出ていれば、手元資金は減ります。
逆に、赤字でも借入金の調達や資産売却によって現金が入れば、資金は増えます。
お金の“動き”を可視化するのがキャッシュフロー計算書。
数字を「流れ」で見ることで、経営の実態がより立体的に見えてきます。
3つのキャッシュフローで会社の“動線”をつかむ


キャッシュフロー計算書は、会社の現金の動きを「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つに分けて整理します。
難しく聞こえますが、それぞれ次のように見るとわかりやすいです。
営業キャッシュフロー:本業で現金を稼ぐ力
例)売上代金の入金、仕入代金や人件費の支払いなど
本業の取引で資金がプラスなら、事業としては安定しています。
投資キャッシュフロー:未来の成長に向けた投資の動き
例)設備購入、新店舗開設、他社株式の取得など
一時的にマイナスでも、成長を支える前向きな支出なら健全と言えます。
財務キャッシュフロー:お金の調達と返済の動き
例)借入・返済、増資、配当など
たとえば営業で得た資金で借入を返済していれば、体力が回復・強化されているサインです。
この3つを組み合わせて見ることで、「資金が増えた・減った」の原因が明確になります。
さらに、営業CFが安定していれば、資金繰りにも余裕が生まれ、次の投資や借入の判断もしやすくなります。
キャッシュフローを読むことで、攻めと守りが両立できる


“お金の流れ”を意識することで、経営判断のスピードと精度が高まります。
営業キャッシュフローがプラスで安定していれば、成長投資や新規事業への挑戦といった“攻め”の一手を打ちやすくなります。
一方、営業キャッシュフローがマイナスであれば、在庫・売掛金・借入など、どこで資金が滞っているかを見直す“守り”の改善策が見えてきます。
キャッシュフローを読むことは、会社のお金の流れを整えるだけでなく、次の一手を打つための判断力を磨くことにもつながるのです。
キャッシュフロー計算書を読み解くことで、数字が“動き”として見えてきます。
お金の流れを経営に活かすことが、安定と成長を両立する第一歩です。
次回は、本連載の締め括りとして「決算を“見せる”経営」についてお伝えします。
決算を整えることが、どのように会社の信頼や成長のチャンスにつながるのかを見ていきましょう。

