採択結果に見る「中小企業成長加速化補助金」~後編~

※本記事の内容は、2025年11月1日時点の情報に基づいたものです。
※記事中の画像は、生成AIを用いて作成しています。

以前の記事でも紹介した「中小企業成長加速化補助金(第1回公募)」の採択者が公表されました。
本制度は、成長意欲の高い中小企業を対象に、事業拡大や組織強化を後押しする新たな補助金として注目されています。

後編の今回は、採択企業がどのように“成長の筋道”を描いたのか、その共通点を見ていきましょう。

本補助金は、「既に完成されたビジネスモデルを持つ企業」よりも、「新たな挑戦を通じて成長を加速させようとする企業」を後押しを趣旨としています。

前編で見たように、採択企業の事業計画値は申請企業全体よりも高い成長を見込んだものとなっており、「どのような施策で、どの分野を、どう伸ばすのか」を具体的に描いていたことが推察されます。

単に「頑張ります」ではなく、
「成長を数字で語れた企業」が選ばれたと言えるでしょう。

採択企業の傾向を整理すると、主に次の4つの特徴が見えてきます。

「成長した姿」を具体的に描けている

<売上高成長(年平均)>
 採択企業平均:26.4% 申請企業全体平均:17.8%
<付加価値増加率(年平均)>
 採択企業平均:27.5% 申請企業全体平均:18.4%

採択企業は、売上や付加価値の成長見込みを平均25%超の水準で示しています。
単なる「伸びる予定」ではなく、「どの分野の売上をどう伸ばすのか」を、投資(補助金の用途)に結びつけて具体的に描けた企業が評価されたと考えられます。

投資と成果の関係に「納得感」がある

<投資比率(最終決算期)>
 採択企業平均:53.5% 申請企業全体平均:32.7%

採択企業の投資比率は申請企業全体よりも高く、設備投資・人材投資を成長の軸として位置づける傾向が見られました。

ただし、投資で大切なのは、金額の大小ではなく「投資と成果のつながり(ROI)」です。

投資と成果の関係に納得感があるか否かが、採択を分けたポイントの一つと推察されます。

人への投資を「コスト」ではなく「成長ドライバー」として捉えている

<給与増加率(年平均)>
 採択企業平均:5.9% 申請企業全体平均:4.8%

採択企業では、申請企業全体と比較して、大幅な賃上げを計画している傾向が見られました。
このことから、「人」にかかる費用を単にコストと捉えるのではなく、人材投資を成長の基盤として重視した計画を描いていたものと考えられます。

こうした姿勢は、人的資本強化や賃上げ促進といった国の政策方針とも整合しており、評価を後押ししたと推察されます。

ここまで見てきたように、採択企業では、売上・投資・付加価値・給与など主要な経営指標が、申請企業全体よりも一貫して高い水準で計画されています。
これは、部分的な強調ではなく、計画全体に整合性を持たせようとした姿勢を示唆しています。

単に高い目標値を掲げるだけではなく、投資・人材・付加価値といった要素をつなぎ合わせ、「数字のつながりで成長のシナリオを具体的に描けた企業」が高く評価されたのではないでしょうか。

現状を冷静に分析し、どこに資金を投じ、どんな人材を配置し、どの指標をどの水準まで伸ばすのか――。
この視点は、補助金採択の成否に限らず、日々の経営判断にも通じます。

大切なのは、数字に表れた課題を出発点に、次の挑戦を構想する姿勢です。
今回の補助金の採択結果概観を一つの教材として、自社の「これからのストーリー」を描き直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

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という方は、ぜひ一度ご相談ください。

貴社の状況にあわせて、補助金活用を一緒に検討していきましょう。