※本記事の内容は、2025年12月08日時点の情報に基づいたものです。
※記事中の画像は、生成AIを用いて作成しています。

こんなに頑張っているのに、なぜ利益が出ないのか?
そう感じたことはありませんか?
この連載「頑張っても利益が出ない?“利益体質”をつくる経営の話」では、会社の数字を“儲ける力”の視点から見直し、利益を生み出し続ける経営のヒントをお伝えします。
前回・前々回の記事では、「売れば売るほど増える費用=変動費」 を扱ってきました。
第4回の今回は、売上に関係なく毎月かかる固定費の設計について見ていきましょう。
固定費とは?──“売上に関係なくかかる費用”


固定費とは、ひとことで言うと売上がゼロでも必ず発生する費用のことです。
たとえば――
- 人件費(固定給部分)
- 事務所家賃
- 通信費・システム利用料
- 車両リース
- 減価償却費
- 管理部門の外注費 など
固定費の特徴は、毎月・毎年のように“定期的に必ず出ていく”という点。
つまり、固定費が高い会社は「黒字になるまでのハードルが高い」構造になってしまっています。
裏を返すと、固定費を適正化することで黒字ラインを大きく下げることが可能になるのです。
「固定費が適正化されていない会社」によくある3つのパターン


固定費が思うようにコントロールできていない会社には、いくつかの共通点があります。
ここでは、「固定費が重くなる前段階」として起きている典型パターンを3つ紹介します。
売上が伸びて安心した結果、
- 人員を増やす
- 事務所を広げる
- 新しい設備を購入する
など、固定費を上げてしまうケースです。
しかし、次年度以降で売上が落ちると、これらは急に重荷に変わります。
成長期ほど、固定費の増加は慎重に行うべきです。
契約当初は必要だったけれど、今は優先度が下がっている経費は意外と多いもの。
- サブスクリプションサービス
- 使っていないシステム
- 形骸化した外注
- 年間更新のサービス
固定費は「放置すると勝手に積み上がる」性質があります。
固定費は何でも削ればいいわけではありません。
- 人材育成費
- 営業のための最低限の交通費
- 生産性を上げる仕組みツール
これらは 利益を生むための投資 です。
逆に、「なくても困らない固定費」は早めに手を打つべきです。
固定費を味方につける3つのステップ


固定費は“減らす”だけが正解ではありません。
大切なのは、利益を生むために適正化することです。
次の3ステップで、固定費の見える化・健全化を図ることができます。
まずは、すべての固定費を一覧化し、次のように分類します。
- 「絶対に必要」
- 「状況によっては見直すべき」
- 「ほぼ不要」
これをやるだけで、「なぜ利益が残らないのか」 の輪郭が見えてきます。



本当に必要?
と感じる費用は、思い切って小さくしてみる価値があります。
- 外注費の一部を内製化
- サブスクのグレードダウン
- オフィスの縮小
- 不要なシステム契約の停止
固定費の最適化は、利益改善の即効性が高い取り組みです。
固定費には、削ってはいけないものがあります。
- 業務効率が上がるツール
- 営業力が上がるスキル研修
- 生産性向上につながる設備
- 優秀な人材の採用
- マーケティングの基盤整備
これらは削ると、中長期の利益最大化を阻害してしまいます。
固定費は「削るべき固定費」と「投資すべき固定費」を分けて考えることが重要です。
固定費は「経費削減」の文脈で語られがちですが、本質は「利益を生むための土台」となる重要なものです。
必要なところに投資し、不要なところを手放す。
これだけで、会社の利益は安定化し、成長のスピードも変わります。
次回は、利益改善を実現する「全体設計」をテーマに、売上・変動費・固定費を組み合わせた「利益体質の作り方」をお伝えします。

