※本記事の内容は、2025年9月9日時点の情報に基づいたものです。

資金を調達するには銀行融資しかない
そう思っていませんか?
この連載「借入だけじゃない!会社を強くする資本の話」では、借入以外の資金調達であるエクイティを活用して、会社をもっと強くするヒントをお伝えします。
第1回目の今回は、社長が知っておきたい「資本」の基本について見ていきましょう。
借入と資本の違い


金融機関等からの借入は、一般的でよく選ばれる資金調達方法ですが、「借りられる額には限界がある」という現実もあります。
特に、赤字や新規事業に挑戦するときには、銀行融資だけでは十分な資金を確保できないことも多いのが実情です。
そんなときに必要になるのが 「資本」=エクイティという考え方です。
借入(デット)は、返済義務があり、元本や利息の支払いが会社のキャッシュフローを圧迫します。
特に新規事業や赤字決算時には「返済プレッシャー」が重くのしかかります。
一方で、資本(エクイティ)は返済義務がなく、会社の純資産として積み上がります。
そのため財務基盤を強化し、銀行や取引先から「安心できる会社」と評価されやすくなるのです。


なぜ今「資本戦略」が必要なのか


中小企業庁の調査によれば、多くの事業者が成長投資のために借入を選択している一方で、約4割が「今後は増資などエクイティを活用したい」 と回答しています。
背景には、借入だけでは挑戦できない新規事業や研究開発が増えていることがあります。
というのも、新規事業や研究開発は成果が出るまでに時間がかかり、失敗リスクもあるため、返済期限が決まっている借入とは相性が悪いのです。
銀行融資は「返済能力があるか」が大きな判断基準になるため、将来の成果が未知数な取り組みには資金が集まりにくいのが実情です。
一方で、エクイティファイナンスは返済義務がないため、長期的な投資や挑戦に耐えられる資金を確保できます。
さらに出資者とリスクを共有できるため、会社としても思い切った成長戦略を描きやすくなります。
また、エクイティは資金調達手段にとどまらず、出資者からの経営支援や販路拡大、人材確保など「お金以外のサポート」も受けられる点が大きな魅力です。
借入依存のリスクを減らす


「会社のお金の調達といえば金融機関からの借入」
そう考える社長は少なくありません。
確かに借入は即効性があり、中小企業にとって最も身近な資金調達手段です。
ですが、借入だけに頼ることは、実は会社の成長や安定性を損ねるリスクがあります。
返済負担に追われて肝心の成長投資を縮小したり、金融機関の評価が下がって追加融資を受けにくくなる例も少なくありません。
資本戦略を取り入れることは、こうしたリスクを減らし、長期的に会社を強くする第一歩なのです。
資金調達は「借入」だけではなく、「資本」をどう活かすかが重要です。
借入と資本を上手に組み合わせることで、会社の成長と安定の両立が可能になります。
次回は、「赤字でも資金調達できる?資本性ローンという選択肢」 について解説します。