新事業進出補助金を徹底解説!その2~満たすべき要件は?~

※本記事の内容は、2025年4月22日時点の情報に基づいたものです。

2025年4月22日に、中小企業新事業進出補助金(以下、新事業進出補助金)の第1回公募要領が発表されました。
公募締切は、2025年7月10日(木) 18:00です。

この補助金は、既存事業とは異なる新市場や高付加価値事業への進出を目指す中小企業等を支援するものです。
中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的としています。

本日は、この新事業進出補助金を申請するにあたり満たすべき要件について解説していきます。

新事業進出指針に示す「新事業進出」の定義に該当する事業であること。

新事業進出要件を満たすためには、以下①~③のすべての要件を満たす事業計画を策定する必要があります。
なお、ここでの「新規性」とは、補助事業に取り組む中小企業等にとっての新規性であり、世の中における新規性(日本初・世界初)ではありません。

  1. 製品等の新規性要件
    事業を行う中小企業等にとって、事業により製造等する製品等が、新規性を有するものであること。
  2. 市場の新規性要件
    事業を行う中小企業等にとって、事業により製造等する製品等の属する市場が、新たな市場であること。
    新たな市場とは、事業を行う中小企業等にとって、既存事業において対象となっていなかったニーズ・属性(法人/個人、業種、行動特性等)を持つ顧客層を対象とする市場を指す。
  3. 新事業売上高要件
    次に掲げる(ⅰ)(ⅱ)のいずれかを満たすこと。
    (ⅰ)事業計画期間終了後、新たに製造等する製品等の売上高又は付加価値額が、応募申請時の総売上高の10%又は総付加価値額の15%を占めることが見込まれるものであること。
    (ⅱ)応募申請時の直近の事業年度の決算に基づく売上高が10億円以上であり、かつ、同事業年度の決算に基づく売上高のうち、新事業進出を行う事業部門の売上高が3億円以上である場合には、事業計画期間終了後、新たに製造する製品等の売上高又は付加価値額が、応募申請時の当該事業部門の売上高の10%又は付加価値額の15%以上を占めることが見込まれるものであること。

補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額(又は従業員一人当たり付加価値額)の年平均成長率が4.0%(以下「付加価値額基準値」という。)以上増加する見込みの事業計画を策定すること。

申請者自身で付加価値額基準値以上の目標値を設定し、事業計画期間最終年度において当該付加価値額目標値を達成することが必要です。
付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。
比較基準となる付加価値額は、補助事業終了月の属する(申請者における)決算年度の付加価値額です。

補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、以下のいずれかの水準以上の賃上げを行うこと
(1)補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間(令和元年度を基準とし、令和2年度~令和6年度の5年間をいう。)の年平均成長率(以下 「一人当たり給与支給総額基準値」という。)以上増加させること
(2)補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、給与支給総額の年平均成長率を2.5%(以下 「給与支給総額基準値」という。)以上増加させること

  • 申請者自身で、一人当たり給与支給総額基準値以上の目標値及び給与支給総額基準値以上の目標値をそれぞれ設定し、応募申請時までに全ての従業員又は従業員代表者に対して表明することが必要です。
    基準値より高い目標値を設定した場合、その高さの度合い及び実現可能性に応じて審査で評価されます。
  • そのうえで、補助事業実施期間の終了時点が含まれる事業年度の一人当たり給与支給総額及び給与支給総額を基準として、事業計画期間最終年度において当該一人当たり給与支給総額目標値又は給与支給総額目標値のいずれかを達成することが必要です。
  • 給与支給総額とは、従業員に支払った給与等(給料、賃金、賞与等は含み、役員報酬、福利厚生費や法定福利費、退職金は除く)をいいます。また、一人当たり給与支給総額とは、給与支給総額を従業員数で除したものをいいます。
  • 応募申請時に従業員数が0名の場合、対象となる給与が存在しないことから本補助金には申請できません

目標値未達の場合、補助金返還義務があります。

補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業所内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること

補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業所内最低賃金(本補助事業を実施する事業所内で最も低い賃金)が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であることが必要です。

―参考- 都道府県別最低賃金年平均成長率(令和2年度~6年度)

目標値未達の場合、補助金返還義務があります。

次世代育成支援対策推進法」に基づく一般事業主行動計画を公表していること

次世代育成支援対策推進法」第12条に規定する一般事業主行動計画の策定・公表を行うことが必要です。
応募申請時までに、次世代法に基づき一般事業主行動計画を策定し、仕事と家庭の両立の取組を支援する情報サイト「両立支援のひろば」に策定した一般事業主行動計画を公表してください。

補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること

金融機関等から資金提供を受けて補助事業を実施する場合は、資金提供元の金融機関等による事業計画の確認を受ける必要があります。必ず、「金融機関による確認書」を提出してください。
金融機関等からの資金提供を受けずに自己資金のみで補助事業を実施する場合は提出は不要です。


本日は、新事業進出補助金を申請するにあたっての基本要件について解説しました。
これらの基本要件以外にも、賃上げ特例の適用を受ける場合の追加要件や、連携体申請・組合特例に関する規定もあります。

企業成長に向け、補助金の活用は有効な手段の一つです。

申請要件を満たすことができるだろうか?

特に留意すべきことは?

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