※本記事の内容は、2025年3月2日時点の情報に基づいたものです。
本連載の①~③では「令和7年度の中小企業関連予算」や「中小企業関連施策に係る税制改正」について解説してきました。
本日は、これらを踏まえ、日本の産業構造が今後どこに向かっていくのかを推測していきます。
1. 「いま」は産業構造の大きな転換点

これまでの連載で解説してきた通り、100億企業の創出ついては補助金・税制改正の両面から強い支援が行われていく状況が、税制面からは国内投資の拡大/各地の産業集積が進むことが読み取れます。
また、上記以外にも、新規輸出1万社支援プログラムが2022年から開始されています。
これらのことを踏まえると、日本の産業構造は大きな転換点を迎えようとしていることが推測されます。
2. 製造業の歩み

日本の製造業を中心に歴史を振り返ると、高度成長期は「安価で勤勉な労働力」を原動力とした国内製品を輸出することで経済成長を実現しました。
近年は円高や人材の不足を背景に海外へ製造拠点を移し、国内では企画や設計をメインとしたファブレス企業が成功した事例として挙げられています。
一方で、産業空洞化から生じる問題も多数発生しています。
3. 今後の展望

今回の中小企業施策から推測すると、国内に製造拠点を整備し、輸出立国とする姿が想像されます。
昨今の事例としては、熊本のシリコンアイランド化という用語に象徴されるように、TSMC(台湾積体電路製造)進出により、地元の雇用創出や関連産業の発展が期待されています。
周辺には多くの部品メーカーや機械製造業が集まり、サプライチェーンの拡大が進行中のニュースは記憶に新しいところです。
国は、輸出国家に向けて舵を切り始めたと考えられるのではないでしょうか。
今回の記事では、「令和7年度の中小企業関連予算」や「中小企業関連施策に係る税制改正」から、日本の産業構造が今後どこに向かっていくのかを推測しました。
次回は、「なぜいま、中堅企業の創出が着目されているのか」を考えていきます。