※本記事の内容は、2025年6月22日時点の情報に基づいたものです。
前回の記事では、「100億企業の成長パターン」を見てきました。
本日は、100億企業が成長段階で直面する課題とその打ち手について、「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会」の報告書をベースに見ていきましょう。
成長企業に共通する「課題→気づき→打ち手」のサイクル

「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会」の報告書によると、2002年から2022年の間に、売上高10億円から100億円企業に成長した企業のデータを分析した結果、成長企業の多くは売上規模ごとに共通する課題に直面していることが分かっています。
それに対して必要なのが「気づき」と「打ち手」です。
「課題に気づき、それに適した打ち手を講じる」というサイクルを繰り返すことで、企業は段階的に成長していきます。
成長志向の経営者は、自社の成長段階に応じた課題を認識し、戦略を考える必要があるのです。
売上規模ごとの主な課題と打ち手の傾向

100億円企業へ成長するまでの間、企業は各段階において様々な課題に直面します。
ここでは主に、企業活動の基礎となる「事業戦略の構想・推敲」段階における課題と打ち手の方向性を見ていきましょう。
■ 売上高1〜10億円
この段階の企業は、「特定の販売先に特定の製品・サービスのみを供給するビジネスでは、売上高が伸び悩む」という課題に直面します。
打ち手としては、以下のようなものが挙げられます。
- 事業コンセプト(誰の、どのような課題を、なぜ自社が解決するか)を確立する
- 既存又は関連する製品・サービスを提供できる成長市場を探索する 等
■ 売上高30〜50億円
この規模になると、「既存の製品・サービスの販売のみでは、売上拡大は頭打ち」「既存の製品・サービスの売上高の維持も課題」という状況に陥りがちです。
打ち手としては、以下のようなものが挙げられます。
- 事業コンセプトに沿う活動を推し進める
- M&Aにより、製品・サービスの単価見直し又は販売先の地理的拡大を図る
- 参入障壁の高いビジネスモデルを確立する 等
■ 70億円以上
この規模の企業がさらに成長を目指すには、「自社の複数の製品・サービスの属する市場だけでなく、新たな市場での一定のシェアを獲得・拡大させていくこと」が必要となります。
打ち手としては、以下のようなものが挙げられます。
- 自社の製品・サービスの属する市場では、単価見直し又は販売先の地理的拡大を推し進める
- 新たな市場を見据える場合は、必要に応じ、事業コンセプトを刷新する 等
このように、課題と打ち手の方向性は、企業の売上規模によって様々です。
成長企業に必要なのは「気づき」を得る場

前章で見たような課題を乗り越えるには、まず自社がどの段階にいるのかを正しく認識することが第一歩です。
しかし、経営者一人では気づきにくい部分も多くあります。
だからこそ、他の経営者や外部の専門家との対話・交流が不可欠です。
他社事例や異業種の取り組みや成功事例から刺激を受けることで、「自社の課題」に気づき、それを経営に活かすことが成長のカギとなります。
今回は、「100億企業が成長段階で直面する課題とその打ち手」についてみてきました。
企業の成長は一足飛びではありません。
繰り返しになりますが、「課題に気づき、それに適した打ち手を講じる」というサイクルの繰り返しによって実現に近づくのです。
次回以降の記事では、この「成長段階の課題と打ち手」のより具体的な内容を見ていきます。