※本記事の内容は、2025年8月19日時点の情報に基づいたものです。
前回の記事では、「100億企業への成長に向けて基盤となる要素」のうち、「成長資金の調達方法」について紹介しました。
今回と次回の記事では、引き続き「100億企業への成長に向けて基盤となる要素」の観点から、「人材の確保・育成、組織体制の構築」について見ていきましょう。
参考資料は「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会」の報告書です。
継続的な成長のためには、組織体制と整合的な人材確保・育成が重要

中小企業が成長していくには、「組織としての総合的な能力」を向上させていくことが必要です。
経営者自身がリテラシーを高め、「売上高100億円」を目指してその道筋を示すとともに、人材への投資を行い、成長段階に応じた、組織体制と整合的な人材確保・育成が必要となります。
「中小企業における人材・組織面の課題」と「成長企業の人材・組織戦略」を整理すると以下のようになります。
- 経営者や経営幹部の経営・ファイナンス・マネジメントに関する知識や新しい技術等に対するリテラシーの不足。
- 部分最適・労働投入に頼るマネジメントに陥りがち。
- 自分たちで人を育てる土壌を持てていない。
- 大企業に比べて人材開発・教育が弱く、教える層も薄い。
- 社員教育に時間を割けず、人材育成がOJT型。十分な新人教育ができていない。
- 社内のバックアップ体制が乏しく、経営者自身や経営幹部が中長期研修を受講することが難しい。その結果、経営者を支える右腕・中核人材が育たない。
- AI等の新しい技術を身に付けた専門人材の確保・育成が難しい。
- 社内CFO人材がおらず、資金の相談相手が銀行や税理士、会計士が中心となり、エクイティの選択肢に至らない。
- 経営者自身が経営リテラシーを高め、部分事業主ではない独立した経営者として、多くのステークホルダーに対応しながら経営。
- 右腕人材・経営幹部に経営の共通言語を身に付けさせ、組織としての経営リテラシー、経営戦略の実行力を向上。
- 売上高が大きくなると、部門の統括者を設置したり、その下の各部署の責任者を配置するなど組織構築を実施。
- 会社の規模に応じて求められる管理者の役割を把握し、全体最適で視野を広くもったマネジメントのカルチャーへの転換と適材適所によるマネジメント体制の構築。
- 人手不足社会でも全体として付加価値を高めることができるよう、労働投入のみならず、資本も含めたトータルでのマネジメントを構築。
- 社員にも経営マインドを身に付けさせ、売上を伸ばすためにはどのようなビジネスを行うべきか、今の延長線上ではない視点から考えさせるなど、社員教育に力を入れる。
- 人材マッチングサービスや複業人材を有効活用して専門人材を獲得。また、M&Aによってチームごと人材獲得。
人材の確保・育成、組織体制の構築の具体的手段

人材の確保・育成、組織体制の構築を行うための具体的手段として、ここでは2つの例をご紹介します。
例 1 :中小企業大学校を活用した経営者、経営幹部の育成
「人材の確保・育成、組織体制の構築」の具体的手段の一つとして、中小企業大学校の活用が挙げられます。
管理者・後継者に中小企業大学校の研修を継続的に受けさせることで、以下のようなメリットがあります。
レ 社内共通言語の形成
レ 管理者が経営者の目線でマネジメント
レ 幹部社員のロールモデルの構築
企業が「中小企業大学校を知っているが利用しない」理由として、「派遣する余裕がない」や「遠い」が多く挙げられていますが、中小企業大学校では、連日の中長期研修を合宿型で受講することが困難な多忙な経営者にも受講しやすいよう、間隔を空けた研修(インターバル型研修)や、アクセス利便性の高い都市型、出張型やオンライン活用型も提供しています。
育成手段の一つとして、検討してみるとよいでしょう。
例 2 :中小機構のハンズオン支援を活用した経営人材・組織力の強化
中小機構では、中小企業の経営課題の解決や経営人材の育成などを目的として、ハンズオン(座学での知識を得るではなく、実作業を通じて理解を深める)支援を行っています。
具体的には、以下のような流れで支援が行われます。
レ 中小企業に専門家を長期間・継続的に派遣
レ 経営者や経営幹部等との対話と傾聴を通じて経営課題の優先順位を決定
レ 支援チームが複数の目で企業の課題に応じた支援計画を提案し、企業側と合意してから支援を開始
企業側は、幹部社員等によるプロジェクトチームを編成し、企業が主体となったプロジェクト活動を実施します。
課題解決プロセス(PDCA)でのOJT支援を通じて「経営人材の育成」と「仕組みづくり」、「組織力の強化」
を図り、企業の自立的な成長を目指す取り組みです。
今回は、「人材の確保・育成、組織体制の構築」に着目し、その重要性や具体的手段について見てきました。
次回の記事では、引き続き「活用人材の確保・育成、組織体制の構築」についての後編として、中小企業庁の取り組みや官民様々なマッチングサービスについてご紹介します。