※本記事の内容は、2025年4月21日時点の情報に基づいたものです。
前回の記事では、「100億企業」の意義や意味を見てきました。
本日は、経営者が、この「100億企業」をめざすきっかけについて、「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会」の報告書をベースに見ていきましょう。
1. 「期待」と「危機感」

「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会」の報告書によると、中小企業の経営者が成長を目指すモチベーションは、「成長への期待」と「停滞への危機感」に大別されています。
具体的には以下のようなものです。
成長への期待
・自社の力で地域をよりよくしていきたい、社会へ貢献していきたい。中小企業が日本を引っ張っていくという思い。
・魅力ある企業へ成長することで人材確保につながる。
・従業員の満足度向上のためにも成長が不可欠。
・新たな事業に取り組むことで社員の能力を向上させたい。
停滞への危機感
・人口減少に伴い、国内市場だけでは主力事業が衰退していく可能性。新しいことへ挑戦していく必要。
・ GX等による市場構造転換により、これまでの市場が縮小する可能性。
・人材確保のためにも付加価値の高い商品に入れ替え、賃上げを行うことが必要。
・自社の継続、社員の生活と雇用を守るために成長が必要。
特に、経営者の多くが、人口減少、GX、市場構造の変化等、現状・将来に危機感を抱いて行動しており、現状を正しく認識し、危機感を持つことは、成長を目指し行動変革する一つの前提となるとされています。
2. 優れた経営者との交流

また、成長志向に至ったきっかけとしては以下のようなものもありました。
- 経営者の生来の気質
―知的好奇心が高く、様々なことにチャレンジしたい。 - 経営者になる前の経験
―中小企業の家に生まれ、親の経営を見る中で、下請的なビジネスモデルでは生き残れないと感じた。
―大企業で働き、規模の大きな取引を行ったり、経営者の成長を目指す姿勢を間近で見てきた経験の中で、成長志向のマインドが培われた。 - 経営者になった後の経験
―周りの経営者との普段の会話から刺激を受けた。
―経営者の交流会イベントに参加し、優れた経営者から話を聞いた。
―コンサルタントとの対話で成長の重要性に気づいた。
このように、経営者の生来の気質による場合もありましたが、優れた経営者との交流などがモチベーションを持って動き出すきっかけとなった経営者も見られました。
このように、成長志向の経営者を増やしていくためには、成長への期待を高めるとともに、自分事として捉えて動き出すきっかけづくりを促進することが重要とされています。
次回の記事では、「成長ポテンシャルのある経営者を後押しするアプローチ」を考えていきます。