※本記事の内容は、2025年7月19日時点の情報に基づいたものです。
前回の記事では、「100億企業が成長段階で直面する課題とその打ち手」を、組織・人材/M&Aの視点で深堀りしてみました。
今回は、「100億企業が成長段階で直面する課題とその打ち手」の深堀り記事第三弾として、事業戦略の実行フェーズにおける資金調達/相談相手の視点から見ていきましょう。
参考資料は「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会」の報告書です。
「資金調達」の観点

企業が成長を目指す際、避けて通れないのが「投資」に伴う資金調達です。
成長ステージごとに必要な金額も出し手も変わるため、適切な調達手段を選ぶことが経営の質を左右します。
■ 売上高1〜10億円
この段階では、設備投資や運転資金の確保が主な課題です。
信用力が十分でない場合、メガバンクとの取引はハードルが高くなります。
打ち手としては、
・地銀・信金・政府系金融機関(日本政策金融公庫など)からの借入
・自社の成長性を評価材料とした事業性融資の活用
・他社との業務・資本提携
・投資育成会社など、長期安定株主の参入
などが挙げられます。
■ 売上高30〜50億円
この段階の企業は、メガバンクや第一地銀とも取引が始まります。
売上とともに利益も拡大するため、自己資本による投資も可能になるステージです。
経営者の中には、安定経営を志向し、無借金経営にシフトする方もいますが、いずれの場合においても成長資金をどう確保するかが鍵です。
打ち手としては、
・メザニン(※)の活用
・新規事業を行う際のエクイティ調達(新株発行による資金調達)
などが挙げられる他、上場を視野に入れる企業も出てきます。
※新株発行(エクイティファイナンス)と借入(デッドファイナンス)の中間的な資金
■ 売上高70億円以上
このステージでは、すでに十分な借入能力を備えている企業が多く、成長投資に対応する資金戦略が求められます。
生産・物流・販売拠点整備やM&A、新規事業の立ち上げ等にともない、多額の資金ニーズが発生します。
打ち手としては、メザニンやエクイティの積極活用が挙げられ、上場を視野に入れる企業も増えるステージです。
一方、エクイティ獲得に向けたガバナンス強化も必要となります。
「相談相手」の視点

成長ステージごとに企業が抱える課題・打ち手は異なるため、経営者の相談相手も以下のように変化していきます。
■ 売上高1〜10億円
よろず支援拠点、中小機構、商工会・商工会議所、金融機関(地銀、信金、日本公庫)
■ 売上高30〜50億円
中小機構、商工会議所、金融機関(地銀、日本公庫等)
■ 売上高70億円以上
金融機関(地銀、メガバンク)、 経営支援サービスを提供する事業会社、持株会社
上記に加えて、どの成長ステージにおいても、経営者仲間は重要な相談相手です。
成長志向の経営者は、外部の経営者と交流を積極的に行い、気づきを得ています。
そうした場として、特に有効なのが「経営者ネットワーク」です。
規模に応じた経営者ネットワークに参加して、一つ上のステージにいる経営者を含め、様々な経営者と交流することが学びにつながっています。
今回は、「100億企業が成長段階で直面する課題とその打ち手」を、資金調達/相談相手の観点からみてきました。
次回の記事では、今回の記事でも触れた「経営者ネットワーク」について詳しくご紹介します。