※本記事の内容は、2025年7月13日時点の情報に基づいたものです。
前回の記事では、「100億企業が成長段階で直面する課題とその打ち手」を、資金調達/相談相手の視点で深堀りしてみました。
今回は、100億企業への成長に向けて基盤となる要素のうち、企業のどの成長ステージにおいても経営者の重要な相談相手となる「経営者仲間」「経営者ネットワーク」について見ていきましょう。
参考資料は「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会」の報告書です。
成長に資する「経営者ネットワーク」の特徴

中小企業が成長を実現する上では、成長志向を持った経営者の学びの場が必要です。
具体的には、成長に資する新たな視座、発想、人脈を獲得する必要があり、経営者同士のネットワークに参加することが重要です。
成長を目指す経営者が活用すべきネットワークには、次のような特徴があります。
- 地域や業種の枠を超えて、多様な経営者が集まる
- 多様な経営者間でも安心してフランクに情報交換できるための仕組みが存在する
こうした環境は、「同じ悩みを持つ経営者が、率直に相談できる関係」を生み出します。
その結果、日常の経営では得られないようなヒントや気づきを得ることができるのです。
「多様な経営者が集まるネットワーク」の3つのメリット

多様な経営者が集まる「経営者ネットワーク」がもたらすメリット(=企業成長につながる要因)を、具体的にみていきましょう。
同地域・同業種のネットワークでは経営者の経験・知見が同質であるのに対し、多様な経営者が集まるネットワークでは自分とは異なる業種・業界で成功している経営者と話すことで、普段の枠を超えた発想や、成長のヒントが得られます。
「そういうやり方があるのか」と感じた一言が、大きな転機になることも少なくありません。
資金繰りの悩み、人材採用の工夫、取引先との関係づくり──。
経営者なら誰もが抱える悩みを、互いに共有し合えるのも、多様な経営者が集まるネットワークの価値です。
同地域・同業種のネットワークでは、同じ域内・業界で商売を行っているいわば競合関係にあるため、情報共有の幅を制約してしまうことが往々にして起こります。
異業種同士だからこそ、そういった情報共有のハードルが下がり、率直なアドバイスや実体験を聞くことができるのです。
「人との出会い」は、新たな取引先や協業先とのご縁につながることもあります。
同地域・同業種のネットワークでは、普段の営業活動で得られる人脈にとどまりがちですが、多様な経営者が集まるネットワークでは、普段は接点のない地域・業種の方とつながったり、ネットワーク内で紹介を受けたりすることで、自社のビジネスチャンスも広がっていきます。
このように、多様な地域や業種の経営者が安心して円滑な情報交換を行える仕組みを構築するネットワークは、経営者に対して、より効果的に成長機会を提供するものであり、成長を目指す経営者は有効に活用すべきものとなります。
100億企業を創出するための経営者ネットワーク

本連載の④⑤でも紹介してきた通り、100億企業の増加は日本経済・地域経済の活性化において重要な要因の一つです。
一方、中小企業において、売上高100億円は「既存の事業の延長では達成できない高い成長目標」であり、 100億企業の創出を加速させるためには、こうした高い成長意欲を持つ経営者が、成長に向けた気づきを得る環境が必要となります。
以下の①~④は、100億企業創出の加速に向けた「好循環」の仕組みです。
このように、良質な経営者ネットワークが構築されることで、「中小企業の成長を応援する」社会の機運醸成にもつながり、より多くの経営者が100億企業を目指しやすくなる「好循環」が生まれることが期待されます。
今回は、成長に資する経営者ネットワークの特徴についてみてきました。
成長志向を持つ経営者にとって、こうしたネットワークは「学びの場」であると同時に、「自己変革の場」でもあります。
一歩外に出て、多様な経営者と交流すること。
それが、企業の未来を大きく変える一歩になるのです。
次回の記事では、100億企業への成長に向けて基盤となる要素のうち、「成長資金の活用」について詳しくご紹介します。