連載:中小企業施策の重要ポイント~②国の令和7年度中小企業関連予算(令和6年度補正予算)~

※本記事の内容は、2025年2月10日時点の情報に基づいたものです。

中小企業庁(経済産業省の下部組織)から、令和7年度の中小企業関連予算(令和6年度補正予算)が次の通り発表されています。

出所:中小企業庁 令和6年度中小企業・小規模事業者向け補正予算 令和6年12月25日更新

本日は、この補正予算に関して押さえておきたい重要施策「3つのポイント」をご紹介します。

ものづくり補助金、IT導入補助金、持続化補助金、事業承継・M&A補助金といった馴染のある補助金制度です。

拡充措置として、最低賃金近傍の事業者に対する補助率が高く設定される予定であり、引き続き賃上げ支援が行われることになります。

さらに、政策効果の高い支援制度に見直され、従業員21名以上の中小企業を対象に補助上限の引き上げなど、比較的従業員の多い中小企業の支援に方向性を転じています。

ポイント②:新事業展開・構造転換支援

新事業進出補助金が具体的な施策として創設されました。

既存基金の活用であることや、補助対象経費に建物費が含まれていることなどから、事業再構築補助金がリニューアルされた施策になるイメージです。

申請要件としては、企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦(新規性)や賃金要件等が予定されています。

ポイント③:成長投資支援

この「成長投資支援」が令和7年度以降の新しい潮流になるのではないかと予想しています。

(1) 中小企業成長加速化補助金の創設

新たに予算措置が組まれます。

この施策の要件としては、売上100億円を目指すビジョン・潜在力、賃金要件等、後日ご紹介する「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会」の中間報告書の内容が強く反映されています。

施策の目的は、意欲ある中小企業・小規模事業者の飛躍的成長を実現するための、売上高100億円を目指す中小企業等への設備投資や中小機構による多様な経営課題(M&A・海外展開・人材育成等)への支援等となっています。

補助対象経費に“建物費”が含まれている部分も注目しています。

経済産業省による税制改正と連動する施策と予想しています。

(2) 中堅・中小成長投資補助金の拡充

地方においても持続的な賃上げを実現するため、地域の雇用を支える中堅・中小企業が、足元の人手不足等の課題に対応するために行う工場等の拠点の新設等の大規模投資を実施することが支援されます。

また、大企業から経営人材を受け入れる中堅・中小企業に対する給付金を拡充し、着実な事業成長等を実行可能な経営体制の整備を促進することを目的としています。

この施策についても経済産業省による税制改正と連動する施策と予想しています。

(3) 100億企業育成ファンド出資事業

中小機構出資ファンドを通じ、売上高100億円超を目指す中小企業等へリスクマネー供給を実施することを目的とした施策になります。

この施策にも、後日ご紹介する「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会」の中間報告書の内容が強く反映されています。


今回は、中小企業関連の令和6年度補正予算に関して、押さえておきたい重要施策「3つのポイント」についてご紹介しました。

次回は、「中小企業関連施策に係る税制改正」について見ていきましょう!